社団法人、財団法人を設立してみませんか。

こんにちは。会社設立コンシェルジュの杉山です。当事務所では株式会社や合同会社の設立依頼が案件の大半ですが、最近は、それ以外の問い合わせというのも増えています。その代表格はLLPというものですが、これは設立にあたりかなり注意が必要です。詳しくは改めて記載しますが、やはり信頼関係だけで成り立つ組織ですので、カッコよさ、目新しさ、設立費用の安さで気軽に作るべきではありません。実際に、私もヒアリングをしたうえでやめておいた方がいいですよとアドバイスすることもあります。

さて、今回は、数は少ないですが、たまに依頼のある社団法人、財団法人についてです。あまりなじみがないとおもいますが、それは設立件数が圧倒的に少なかったためだと思います。理由は以前まではこれらの法人は公益認定とセットになっていたため、学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団であって、営利を目的こととされていたことから、一般的には設立するケースは少なかったようです。これが2008年の公益法人改革のもと、一般社団法人・財団法人と公益社団法人・財団法人が区別されることとなりました。そのため、基本的に社団法人、財団法人に業務内容に制限がなくなり、設立件数が一気に増加したという経緯があります。

では、社団法人、財団法人の設立にどのようなメリットがあるかといいますと、まずは、一般的なイメージとして公益性、公共性といった公正な団体というニュアンスが万人に持たれると言うことではないでしょうか。例えば何かセミナーや講習会を行う場合、株式会社〇〇主催というより、一般社団法人〇〇主催というほうが何となくイメージはよくないでしょうか。これは感覚的な問題ですが、実際にこういったイメージを目的に設立されるケースは多いように思います。

それからもう一点、こちらは我々の専門分野ですが、利益の分配を行わないなどの一定の要件を満たした場合、法人税法に規定する34業種以外の事業から生じた収益は非課税になると言うことです。

参考に収益事業として列挙されているものを記載してみます。

 

1.物品販売業
2.不動産販売業
3.金銭貸付業
4.物品貸付業
5.不動産貸付業
6.製造業
7.通信業
8.運送業
9.倉庫業
10.請負業
11.印刷業
12.出版業
13.写真業
14.席貸業
15.旅館業
16.料理店業その他の飲食店業
17.周旋業

18.代理業
19.仲立業
20.問屋業
21.鉱業
22.土石採取業
23.浴場業
24.理容業
25.美容業
26.興行業
27.遊技所業
28.遊覧所業
29.医療保険業
30.技芸教授業
31.駐車場業
32.信用保証業
33.無体財産権の提供等を行う事業
34.労働者派遣業

 

一見すると大概の事業は収益事業に含まれるように見えますが、個別に検討してみると意外な落とし穴があります。これはよくいわれる零時ですが、例えばパソコン教室を考えてみましょう。普通に考えればパソコン教室は30技芸教授業 に該当しそうですが、法人税法の規定によるとこの項目に含まれる技芸とは「洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、理容、美容、茶道、生花、演劇、演芸、舞踊、舞踏、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザイン(レタリングを含む)、自動車操縦、小型船舶操縦」となっています。このなかにはパソコンという文字はありません。他にも語学教室なんかもありません。つまり社団法人を設立して事業を行えば法人税は課税されないということです。これってかなりのメリットではないでしょうか。どうしてこんなことになっているのかというと、法律というのは我が国では成文法といって条文に残して初めて効力が発生しますが、そのためには毎回改正手続きを行い、条文を書きなおさなければなりません。そのため改正には手間がかかる、またこの法律が出来た当初には想定出来ない事業であれば現在は一般的であっても書かれていないことがあると言うことです。

ここに記載したパソコンや語学学校は我々専門家の間ではよく知られた事例ですので、もしかしたら改正が近いうちに入るかもしれませんが、個別に判定をしていくと結構非該当の項目というのはあるかもしれません。

そんなわけで今回は社団法人、財団法人の設立のすすめでした。