連帯保証人の民法改正

事業を行うには資金が必要になります。会社の設立に会社法の改正もあり、少額資本で起業される方も多くなりましたが、実際にビジネスを行うには纏まった資金が必要になります。自己資金で始められる方もいれば、創業融資を受ける方もいらっしゃいます。そして多くの場合、融資にあたり会社代表者は連帯保証人となります。このケースであれば、中小零細企業の場合、会社の借金は起業者の借金と同視できる為、今回の改正でも大きな影響はありません。

一方で、金融機関によっては連帯保証人として代表者以外の保障を求めてくるケースがあります。全くの第三者というケースもあれば、奥さんやお子さんといったケースもあります。特に親族の場合、気軽とは言いませんが、安易に連帯保証人を受け入れるケースもありえます。

連帯保証と通常の保証では、催告の抗弁、検索の抗弁権、分別の利益、の有無に違いがあります。催告の抗弁等は先ずは主債務者に返済を求めることが出来る、検索の抗弁とは主債務者に弁済余力があることを主張すること、分別の利益とは負担分だけ保証することであり、連帯保証人の場合は、主債務者が弁済をしなければ即時に弁済を求められるということになります。その為、実務的にはほとんどの保証契約は連帯保証として締結されています。

更に厄介なのが、特に親族が連帯保証人になった場合、仮に主債務者が死亡しても保証債務が消えることがないという点です。もし主債務者たるご主人が死亡した場合、相続放棄をすれば済むと勘違いされている方は多いと思います。相続放棄とはご主人と金融機関との間の借金を放棄することであり、これとは別に締結している連帯保証契約がなくなることはありません。

よって、連帯保証には例え親族であっても安易に受けるべきではありませんが、現実には断りにくい、十分は情報がないといった理由で受諾するケースは少なくありません。

そこで今回の改正では個人が事業用の融資の保証人になろうとする場合には,公証人によ る保証意思の確認が義務付けられました。但し、注意すべきは事業用融資に限られており、事業用でなければ公証人役場での意思確認は不要ということです。また事業用であってもその事業に多少なりともかかわっていれば不要となっています。

連帯保証につき、保証人の保護は格段に改善されましたが、細かな例外規定や実務上の回避事例など今後問題としてクローズアップされてくる点に注視していく必要がありそうです。