前納減額金の改正

最近、中小企業整備基盤機構から「中小企業倒産防止共済制度の制度改正のお知らせ」というハガキが送られてきた方もおられると思います。

中小企業倒産防止共済というのは「取引先事業者の倒産の影響を受けて、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防止するための共済制度」(中小機構のホームページより)であり、企業運営のセーフティーネットとして広く知られています。とはいえ、このような物々しい紹介をされれば、「うちみたいな会社は関係ないよ」と思われるかもしれませんが、そうではありません。

少なくとも、法人成りされた当事務所の関与先では、かなりの割合で加入をしていただいております。

理由は掛け金が全額経費になるからです。しかも、決算期直前であってもよく1年分を前納できますので、節税するにはこれ以上の商品はないと言ってもよいかと思います。

さて、今回の改正の内容ですが、前納減額金の減額率が大幅に引き下げられました。前納減額金というのは、例えば決算直前に翌年1年分を全額一括で支払った場合、掛け金の一部を戻してもらえる制度で、正直、このご時世にしては考えられないくらい高い減額率が設定されておりました。

具体的には改正前5/1000、改正後0.9/1000となっております。

分母はともかく分子が5から0.9ですから一気に5分の1以下に引き下げられたということです。

具体的に計算してみましょう。

先ずは改正前でどれくらい戻ってきていたかを計算してみます。

当事務所のクライアントの多くが決算期直前に満額240万円(@20万円)の前納を行っています。

前納減額金の計算は「掛金月額×1,000分の5×(前納月数の累計)」となっています。

20万円の設定の場合ひと月の減額金額は1000円(20万円×0.005)となります。

12か月分前納しているわけですから、12カ月目の納付分は11カ月早く納めています。つまり12カ月目納付分の前納減額金額は1000×11カ月で11000円となります。同じ要領で11カ月目は10000円となり、全ての前納金額を合計すると66000円となります。

多くのお客さんがそうでしたが、この金額が振り込まれたときに、余りの多さに驚かれています。

年利にすれば2.75%ですから、普通預金では考えられない金利になっています。

余談ですが小学生くらいの頃にこの計算の仕方を習ったのを覚えていますか。最初と最後を足して2で割って月数を掛けると(11000+1000)÷2×11カ月で求められます。

同様に計算すると改正後の前納減額金の金額は11880円になります。これでも現在の金利から考えれば高いくらいでしょう。

我々、国民にとってはまた不利な改正ですが、今回ばかりは致し方ないかなというのが私の感想です。

 

前納減額金は引き下げられましたが、節税効果に変わりはありません。初めてこの制度を知ったという方は、最初の節税対策としてまず検討すべきです。民間の生命保険などは、こちらの共済を満額(800万円)支払った後からで十分です。