特別法人税の課税凍結

2017年度税制改正で、企業年金などの積立金に対する特別法人税の課税凍結を3年間延長する方針を固めたとのことです。

特別法人税って何って思われる方も多いと思いますが、本来、企業年金には、運用残高に対して1.173%の税金がかかることになっています。これが特別法人税ですが、現状では凍結された状態になっています。来年度の税制改正でも、従来の扱いを踏襲し凍結を延期する、つまり税金を課さないという方針のようです。

ここまで書いても、あんまり自分には関係なさそうだなと思われる方も多いと思いますが、最近では当事務所でも起業後、順調に業績を伸ばしている起業様には確定拠出年金の加入を勧めています。

理由は節税効果が大きいことと、証券会社等が徴収する手数料が大幅に安くなってきたため、個人での加入でも十分メリットがあると判断しているためです。更に簡易企業型年金制度の創設、個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度の創設などが決まっており、中小企業でも導入可能な制度になってきているため、最近では小規模企業共済とともに、おススメの制度として紹介をさせて頂いております。

確定拠出年金では自ら掛け金の投資先を選定する必要がありますが、投資を行ったことがない方にとってはなかなか難しい作業になります。投資先は大きく2つに分かれることになります。一つは定期預金などの元本保証商品で、もう一つは純粋な投資となっており、当然元本は保証されません。日本人の特性なのか統計では6割程度の方が定期預金などの元本保証商品を選定しているそうです。

それでも節税効果が大きいため、現状では問題なりませんが、上記の特別法人税の凍結が解除されるとそうは言ってられなくなります。通常、投資に対する税金は値上がり等で利益が出た場合に課税されますが、この税金は利益が出ていようが否かに関係なく、投資残高に課税されます。毎年投資先が利益を出していれば多少の課税は問題ありませんが、損失を出している場合は、資産は目減りしてさらに税金までかかるわけですからダブルパンチとなります。また定期預金などの投資の場合は元本は保証されますが、利息は0.1%程度あればいいほうですので、この場合も、特別法人税の凍結解除により毎年目減りしていくことになります。

今後この税目がどのようになっていくかわかりませんが、廃止論も根強く主張されています。しかし、せっかく成立している税金をみすみす廃止するようなことは政府はしないでしょう。そうなると、国民は絶えずびくびくしておかなければなりません。個人的には最低でも定期預金の金利が1.173%の税率以上になるまでは凍結は延期するべきだと思います。