給与所得控除見直しを提言

政府税制調査会が給与所得控除の廃止を提言しているようです。とうとうここまで来たかという印象です。諸外国ではこのような制度は存在せず、また自営業者と比べて不公平という理由だそうです。

現状では個人事業者が会社設立を行い法人成りするメリットの一つにこの給与所得控除の存在が大きいことは事実だと思います。

例えば売上100、経費40、所得が60で確定申告を行っている個人事業者が法人成りした場合を考えてみましょう。個人事業であれば所得60に所得税が課税されることになりますが、この状態で会社を設立した場合、売上100、経費40、役員報酬60とすれば、会社の利益はゼロとなり、法人税はかかりません。役員報酬60には個人事業者と同様に所得税が課税されますが、ここで給与所得控除により課税される所得を無条件に圧縮することが可能になります。結果として個人事業者よりも所得税は安く済むということになります。

今後どのような改正が行われるかはまだ分かりませんが、上記の例は自営業者が会社を設立した場合の典型的な節税スキームであり、多くの労働者にとっては関係なく、とばっちりとしか言いようがありません。

ここ数年、年収が1000万円を超える高額所得者に対して給与所得控除の縮小による増税が続きましたが、とうとう、普通のサラリーマンにまで増税の波が押し寄せてきたということです。

さらに、今回の提言では公的年金等控除の縮小まで踏み込んでいることは由々しき問題です。

そもそもの支給される公的年金の金額を減らしつつ、さらにそこにかかる税金まで増税しようというのですか開いた口がふさがりません。

国会議員の定数削減、歳費削減にはまったく踏み込まず、一般庶民に対する増税だけが先行的に提言するという姿勢はさすがお役所という感じですね。