2016年

10月

21日

社長の労災

電通での過労死の問題が話題になっています。東大卒のかわいらしい女の子が被害者であったことと電通という超一流企業への妬みもあってか、大変な騒ぎになっています。

詳しい原因はわかりませんが、電通としては誠意のある対応と今後の改善が求められることは言うまでもありません。

一方でもしも会社を設立した社長さんや個人事業者が過労を苦に自殺をした場合はどうなるのだろうという疑問がわいてきます。

当然ですが労災認定されるということは、前提として労災保険に加入しておく必要があります。しかし、残念ながらこの国では事業主や会社代表者は労災保険に加入することが出来ません。

ちなみに「労災」という言葉が一般的によく使われますが正確には「労働者災害補償保険」といい、労働者災害補償保険法第1条では「業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかつた労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もつて労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。 」と規定されているように、労働者を対象にした保障ということになっています。

しかし、現実には事業主といっても、なんら労働者と違わないケースは多数あります。その場合は、特別加入制度といわれる制度を設けられています。

しかし、前提として従業員を雇用している(労災保険の適用事業所となっている)ことという要件がありますので、代表者だけ、もしくは家族だけという会社では加入は認められません。一部の業種では一人親方として加入することも可能ですが、すべての業種とはいきません。

また仮に労災に加入できたとしても、過労死の場合の労災認定はかなり難しくなると考えられます。なぜなら、労災の補償の対象は限定的に解釈されているからです。

事業主には「裁量と自主性が認められている」ため、通常の労働者よりも労災認定は下りにくいと言われています。

昨今の政策は労働者保護にばかり目が向けられていますが、多くの中小零細企業は経営者は労働者でももあることをよく認識してもらいたいと思います。