「株主リスト」が登記添付書面へ

会社設立時の手続きには影響はございませんが、この10月1日以降の登記より、登記書類に「株主リスト」と言われる書類が追加されました。

内容は名称の通りですが、株主名簿のようなものになります。ひな型は法務省のホームページに掲載されております。

株主リストの記載内容は単純なものですが、どのような場合に必要になるかというと、株主総会の決議が変更要件となっている登記事項ということになります。

これまでは株主総会議事録を作成し、役員が連名で捺印をしておくだけで、株主の氏名や持ち株割合が表に出ることはありませんでした。

つまり株主リストは「株主総会議事録等を偽造して役員になりすまして役員の変更登記又は本人の承諾のない取締役の就任の登記申請を行った上で会社の財産を処分するなど,商業・法人登記を悪用した犯罪や違法行為」(以上「商業登記規則等の一部を改正する省令案の概要」より引用)を防止するためと述べられています。

しかし、たぶんこれは建前に過ぎないとも言われています。すなわち、株主リストを提出したからといって、法務局側で登記申請のたびに株主の実態確認を行うことは考えにくいと思います。

では、なぜこのような書類を提出する必要があるのかと言えば、株主情報を把握することによる租税回避情報の迅速な把握、テロ資金の根絶などではないかとも言われています。

 

中小企業の場合ですと、役員の重任登記、定款変更、増資、住所変更(定款変更が必要な場合)などで株主リストの添付は要求されることになります。

株主リストには上位3分の2までの議決権を満たす株主を記載すれば足りるとなっています。多くの会社では代表者が全株出資しているもしくは、最低でも3分の2以上は保有していると思いますので、結果的に代表者の情報を記載すれば足りることになります。

 

また株主リストはあくまでも株主情報を会社が証明するものであり、個々の株主が署名押印をする必要はありません。