社会保険の加入要件が拡大します

今年から「山の日」が制定されましたが、知っている人はあまりいないように思います。今まで祝日のなかった8月に新たに「山の日」として祝日が加わったのですが、これと同じくらい知られていないのが社会保険の加入要件の拡大です。

これまで個人事業者として国民年金や国民健康保険に加入していた方が、会社を設立し代表取締役に就任すると原則として社会保険に加入する必要が出てきます。これは会社設立する際の大きなデメリット(?)ではありますが、制度上は加入が義務付けられています。

もちろん、従業員を雇用した場合も社会保険に加入させる必要があるのですが、平成28年10月よりこれまでの加入要件が大幅に緩和されることになっています。

新たな要件は次のようになっています。

① 1週間の所定労働時間が20時間以上

② 月額賃金88,000円以上(年収106万円以上/残業代や交通費などは含まない)

③ 継続して1年以上雇用されることが見込まれること 

 

所定労働時間はこれまでおおむね30時間以上と言われていましたので、これが20時間まで引き下げられると多くのパート従業員の方も対象になってきそうです。

 

これまで3号被保険者の範囲内で働いてきた方にとっては大きな迷惑になります。今回対象になる多くの方は所得税の扶養範囲は超えるけれども、社会保険の扶養の範囲内では抑えたいという方々が対象になります。

 

表向きは社会保険に入れば保護が手厚くなりますと言っていますが、実際は財源不足を補うための増税に過ぎません。

 

幸い今回の改正は従業員数が501名以上の会社が対象ですので多くの中小企業には関係ありませんが、平成31年10月以降には中小企業にまでこの規定の適用が予定されています。

 

消費税の増税に続き、社会保険まで拡大されれば中小企業の経営には大きな影響を及ぼします。

 

消費税は理論的には会社が負担者ではないという意味では影響は限定的ではありますが、社会保険の拡大は単純に給与の15%程度の会社負担を伴います。多分、このタイミングで労働時間や時給を減らそうとする動きも出てくると思いますが、不利益変更として認められないでしょう。