産業競争力強化法(その2)

先日、産業競争力強化法による会社設立時の登録免許税が安くなるという制度をご紹介しましたが、実際にはあまり情報が無く、概要しか分かりませんでしたが、新たな情報を入手しましたので、お知らせします。

なお、ここでは、大阪市のケースを前提にご紹介しますが、大体どこの市町村でも同様ではないかと思います。

 

登録免許税を安くするには、起業家の方が国からの証明書を受領して、法務局へ提示する必要がありますが、この証明書がどのようにして発行されるかという内容が不明確でしたが、この点につき、情報が入りましたのでお知らせします。

証明書を受けるには市町村が決定している特定創業支援事業を受ける必要があります。大阪市の場合、特定創業支援事業として以下のものが掲げられています。

 起業支援スペース「立志庵」
  創業チャレンジゼミ
  あきない虎の穴
  ソフト産業プラザiMedio
  大阪デザイン振興プラザ

 

各ホームページを確認しても詳細は一切記載がありませんでしたが、電話で確認したところ、1か月から2カ月程度のゼミなどを受講頂くことになるそうです。

 

見ての通りですが、全て役所の外郭団体です。当然、何かゼミのようなものを行えば、国から報酬が出るのでしょう。もちろん起業家の方々からももろもろの収入を得ることになるのでしょう。

それよりも、起業をしたくてもすぐに出来ないことが最大のデメリットと言えるでしょう。

 

少し脱線しますが、役所の発想というのは何か知識や経験を与えさせれば、上手くいくという方向性が良く見られます。

例えば、就職が決まらない新卒者向けのインターン制度などその典型です。就職が決まらないのは経験が無いからでは決してありません。なぜなら、新卒者というのは全員未経験なわけですから、土俵は同じはずです。それにもかかわらず、すぐに内定がもらえる人とそうでない人が出るのは、多くの場合、心構えに問題があるからです。

当社でも以前、助成金を使った新卒のインターンを受け入れたことがありますが、残念ながらどの企業も採用をしないのはよくわかりました。

 

1月程度のゼミを受講(回数でいえば4回程度か)すれば経営が学べ、ビジネスが成功するなどと考えるのは役所くらいです。それよりも、数か月に渡りビジネスの開始が遅れることの損失の方がはるかに大きいと考えれるのが経営者の発想です。

 

一般的にビジネス感覚を大きく逸脱し、自分たちの保身だけを図ろうとする・・・もちろん法律の趣旨はそうではないでしょうが、現実にはそうなりつつある・・・

 

一瞬期待しましたが、一般的な起業家にとっては残念な法律と言わざるを得ないかもしれません。